この子供の心診療支援拠点病院事業というのは、東京都によって子どもの心の診療体制の未来を拓くために平成23年度から始められた事業で、国(厚生労働省)『子どもの心の診療ネットワーク事業』によってサポートされています。これは、全国各地にある子どもの心を診療する中心的な病院を拠点として、地域に根を下ろして子どもの心の診療ができるドクターを養成したり、地域ごとの特色を生かした子どもの心のサポートのためのネットワークを構築したりすることを目的としています(
https://www.ncchd.go.jp/kokoro/)。
東京都においては、まず都立梅ヶ丘病院が拠点として指定され、都立小児総合医療センターがこれを引き継ぎました。そして現在に至るまで、数多くのセミナーなどによって子どもたちの心の問題に向き合おうとされる方々により高度な専門性のある情報を提供すると共に、支援現場の方々のための実習を交えた講座などにより、子どもたちの心の発達を支えることができる人材を育て、ネットワークを作り上げていくことにも力を注いできました。詳しくは、概要をご覧下さい。
子どもたちの心を健康に保つことは、大人たちにとってもっと大きな関心を払うべき課題です。このことが、この事業が立ち上げられた理由に他なりません。
しかし現代、子どもたちの心を脅かす問題は、ますます多様さと複雑さを極めています。子どもたちの心は日々、大変なストレスにさらされているのです。このような問題は、とうてい一病院のみ、医療のみで対処できるものではありません。専門性を持たない人々も含めた、より広い領域の方々との連携が、必要となっているのです。その際に必要とされる拠点とは、中心にあって脚光を浴びる役割ではなく、この問題に関わろうとする人の誰から信頼を寄せられるような『心の拠り所』の役割なのではないかと思いますし、われわれもできることならそのようなものを目指しながら事業を進めていきたいと思います。